インサイドセールスとは?特徴や種類を含む基本知識、導入の流れも紹介
インサイドセールスは、オフィス内での電話やメールを活用した営業手法で、効率的にリードを育成するための戦略です。インサイドセールスは内勤営業といえど、営業とは似て非なる分野です。しかしまだ日本にきて日が浅いため、抽象的なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。本記事ではそんなインサイドセールスについて
- インサイドセールスの理解を深めたい
- フィールドセールスやテレアポとの違いを知りたい
- インサイドセールスをどうやって運営するのかを知りたい
といった方のために、インサイドセールスとは何か、必要とされる理由から導入の流れまでをわかりやすく解説します。インサイドセールスの特徴を理解し、効果的な運営方法についての知識を深めましょう。
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目次[非表示]
- 1.インサイドセールスとは
- 1.1.フィールドセールスとの違い
- 1.2.テレアポとの違い
- 2.インサイドセールスが求められる経緯
- 2.1.インサイドセールスの歴史
- 2.2.時代の変化
- 2.3.インサイドセールスが今必要な理由
- 3.インサイドセールスの役割
- 3.1.役割その1:新規顧客を獲得する(リードジェネレーション)
- 3.2.役割その2:顧客育成を実施する(リードナーチャリング)
- 3.3.役割その3:リードを選定する(リードクオリフィケーション)
- 3.4.役割その4:フィールドセールスへつなげる
- 4.インサイドセールスの種類
- 5.インサイドセールスのメリット
- 5.1.メリットその1:営業効率がアップする
- 5.2.メリットその2:営業の属人化を防げる
- 5.3.メリットその3:人手不足を解消できる
- 5.4.メリットその4:アプローチできる件数が多くなる
- 5.5.メリットその5:フィールドセールスの成約率が上がる
- 6.インサイドセールスのデメリット
- 7.インサイドセールスを導入する流れ
- 7.1.流れその1:営業プロセス整理とインサイドセールス業務の明確化
- 7.2.流れその2:インサイドセール部門またはチームの設置
- 7.3.流れその3:インサイドセールススタッフの確保
- 7.4.流れその4:顧客リストの作成
- 7.5.流れその5:KPIの設定
- 8.インサイドセールスで活用すべきツール
- 8.1.ツールその1:SFA
- 8.2.ツールその2:CRM
- 8.3.ツールその3:MA
- 9.インサイドセールスを成功させるためのポイントを3つ紹介します。
- 10.インサイドセールスの理解を深めて営業効率をアップしよう
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、主に電話やメール、Web会議ツールなどのリモート手段を活用して行なう営業手法です。
営業手法といえど、フィールドセールスとは異なり、オフィス内で顧客とコミュニケーションを取ることで、関係を構築し、リードを育成します。コストをおさえつつ、迅速に多くの見込み客にアプローチすることが可能な仕組みです。とくにBtoBビジネスで広く採用され、効率的な顧客育成やそれに伴う商談獲得などを実現します。
以下では、インサイドセールスとフィールドセールス、テレアポとの違いについて詳しく解説します。
フィールドセールスとの違い
インサイドセールスとフィールドセールスは、営業活動のアプローチ方法が異なります。具体的にはインサイドセールスでは、電話やメールを活用しリードの見込み度合い(サービスの利用確度)を高め、確度がある程度高まった段階でフィールドセールス(営業担当)へパスする、というような座組が一般的です。また、新規顧客の獲得に動くこともあります。それぞれの特徴を以下の表で比較します。
インサイドセールス |
フィールドセールス |
|
アプローチ方法 |
電話、メール、web会議ツール などのリモート手段 |
顧客先への訪問やweb会議など 基本的に対面での営業活動 |
コスト面 |
比較的低コスト |
高コスト(交通費や宿泊費が必要) |
アプローチ人数 |
迅速に多くの見込み客に アプローチ可能 |
見積作成業務などが発生し、 一度に対応できる顧客数に限界がある |
効果的なシーン |
リードの育成や初期段階の 顧客対応。新規顧客の獲得。 |
高額商品や複雑なサービスの契約交渉 |
対象顧客 |
サービスに対しての温度感が 低い顧客、育成が必要な顧客や新規顧客開拓など。 |
商談対応や対面での信頼構築が 重要な顧客、また見積の提示やサービス詳細の商談が必要な確度が高い顧客。 |
インサイドセールスは、リモート手段を用いて迅速かつ効率的に多くの見込み客とコミュニケーションを取ることができ、とくに初期段階のリード育成に適しています。一方、フィールドセールスは、顧客先への訪問を通じて対面での営業活動を行い、信頼関係を構築しやすい方法です。
テレアポとの違い
インサイドセールスとテレアポは、どちらも主に電話を活用した営業手法ですが、目的やアプローチ方法に違いがあります。以下の表で違いを比較します。
特徴 |
インサイドセールス |
テレアポ |
目的 |
リード育成、顧客関係の構築、 商談獲得 |
直接のアポイントメント取得 |
アプローチ方法 |
電話、メール、web会議ツール |
主に電話によるアプローチのみ |
顧客フォロー |
定期的かつ継続的なフォローアップ |
単発の連絡が主、フォローは少ない |
対象顧客 |
長期的な顧客育成、BtoBに多い |
即時のアポイント取得、BtoCに多い |
インサイドセールスは、電話だけでなくメールやWeb会議ツールなど複数のツールを活用して、見込み客との関係を長期的に育成します。リードの育成や商談の獲得を重視し、双方向のコミュニケーションを通じて顧客のニーズを深く理解し、価値を提供するのが特徴です。
テレアポは、主に電話を使用して直接のアポイントメント取得を行います。短期的な目標達成が主であり、一方的なプレゼンテーションが多く、フォローアップは少ない傾向にあります。即時の成果を求めるBtoCビジネスで多く見られます。
ここでの両者の大きな違いとしては、インサイドセールスとテレアポでのゴール設定の違いです。
基本的に、インサイドセールスでは商談獲得を目標として、商材の話しができる、顧客にニーズがあるレベルでミーティングを設定することを最終目標としていることが多いです。一方でテレアポではアポイントメント取得が目標となっていることが多く、ニーズがない顧客に対してもアポイントを取得していくことが多いです。そのため、インサイドセールスでの商談獲得のほうが難易度が高いといえますが、このあたりが抽象的になり、区分けがはっきりとしない要因となっているように思います。
インサイドセールスとテレアポの違いを詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。インサイドセールスの効果的な活用方法も解説しています。
>>インサイドセールスとテレアポの違いとは?効果的な活用方法も徹底解説
インサイドセールスが求められる経緯
インサイドセールスはアメリカで生まれた営業手法です。日本でも2019年に発行された福田 康隆氏著『THE MODEL』で注目されて、普及しつつあります。インサイドセールスが求められる経緯を以下の流れに沿って説明します。
インサイドセールスの歴史
- 時代の変化
- インサイドセールスが今必要な理由
ひとつずつ見ていきましょう。
インサイドセールスの歴史
インサイドセールスはアメリカで発祥しました。広大な国土を持つアメリカでは、営業担当者が顧客と直接会うのは難しく、電話や手紙などのダイレクトメールを使った非対面の営業活動が一般的でした。
1990年代に入ると、インターネットやメール、企業のホームページが普及しました。ITツールを活用した営業手法が定着し始めた時期に、インサイドセールスの基盤が築かれ、効率的で効果的な営業活動として広まったのです。
アメリカでは、ひとつの職務に特化したスペシャリストが好まれる文化や、雇用の流動性の高さがインサイドセールスの普及を後押ししました。
時代の変化
1990年代以降、デジタル技術やインターネットの発展により、顧客の購買行動が大きく変化しました。さらに、近年ではコロナ禍の影響で直接人に会うことが難しくなり、非対面での営業活動が急速に普及しました。
既存営業が得意な日本では、従来訪問営業が主流でしたが、新型コロナウィルスの影響を皮切りにWebや電話、メールを活用した非対面営業が増えています。このようにデジタル化などの時代の変化に対応するために、インサイドセールスの重要性が高まっています。
インサイドセールスが今必要な理由
競争が激化する市場で成功するためには、インサイドセールスの早期導入と運用が鍵です。現在、多くの企業がインサイドセールスの重要性を理解しつつも、まだ十分に活用できていない現状があります。そこで、早めにインサイドセールスを導入し、効果的に活用できるようになれば、他社よりもスピードアップをはかれるチャンスとなります。
テレワークの普及や営業スタイルの多様化が進む中、非対面での効率的な営業活動が求められています。インサイドセールスの導入を進めることで、競合他社との差別化をはかり、営業効率や売上の向上を実現できるでしょう。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスには次の4つの役割があります。
- 新規顧客を獲得する(リードジェネレーション)
- 顧客育成を実施する(リードナーチャリング)
- リードを選定する(リードクオリフィケーション)
- フィールドセールスへつなげる
それぞれの役割と業務内容を見ていきましょう。
役割その1:新規顧客を獲得する(リードジェネレーション)
インサイドセールスの重要な役割は、マーケティング部門が獲得したリードにアプローチし、商談の機会を創出することです。
具体的には、リードが自社の商品やサービスに対して興味を持っていない場合でも、特徴やメリットを的確に説明し、興味を引き出すことが求められます。電話やメール、Web会議を活用し、後述するBDRではおもに、ホワイトリストや休眠顧客などの確度の低いリードの掘り起こしや、ホワイトリストに対してはパーミッション取得(メールや電話の送付了承)を行ない、リードナーチャリングを行なう基盤作りも担います。
役割その2:顧客育成を実施する(リードナーチャリング)
インサイドセールスの役割で、大きくテレアポと違うところでは、リードナーチャリングを実施することがあげられます。リードナーチャリングとは、見込み顧客に対して継続的に情報提供を行い、購買意欲を高める活動のことです。
具体的には、電話やメール、メルマガを活用し、製品やサービスに関する有益な情報やキャンペーン情報などを提供します。見込み顧客が自社商品についての理解を深め、購買意欲を高められます。
顧客の求めるタイミングでニーズや課題をヒアリングし、情報をもとに提案を行うことで、より具体的な解決策を提供し、信頼関係を築くことが可能です。
インサイドセールスのリードナーチャリングが気になる方は次の記事をチェックしてください。リードを獲得するプロセスを詳しく解説しています。
>>インサイドセールスにおけるリードナーチャリングの重要性|3つのリードプロセスと戦略的育成方法
役割その3:リードを選定する(リードクオリフィケーション)
インサイドセールスの役割のひとつに、リードの選定(リードクオリフィケーション)があります。マーケティングチームから送られてきたリードをナーチャリングしつつ、購買意欲が高いリードを見極めるプロセスです。
具体的には、電話やメールでのコミュニケーションを通じて、リードのニーズや課題をヒアリングしBANT情報などを取得。その情報をもとにリードのセグメントを行います。具体例でいうと、確度が低すぎるリードは、一度マーケティングチームに返して、セミナーやメルマガコンテンツでもう少し受動的なナーチャリングを実施してもらう、逆に確度が高まりそうなリードに関してはインサイドセールス側で引き続き対応する、などがあげられます。
このように、取得した情報はインサイドセールスに留めることなく、逐一マーケティングチームにフィードバックして、ターゲティング精度の向上に役立てることが重要です。
リードクオリフィケーションを通じて、インサイドセールスはマーケティングと営業の橋渡し役として、生産性の向上や最終的な企業の売上向上に貢献します。
役割その4:フィールドセールスへつなげる
インサイドセールスのもうひとつの重要な役割は、育成したリードをフィールドセールスへつなげることです。
リードナーチャリングを通じてホットリード(購買意欲が高い見込み顧客)を見極めた後、インサイドセールスはリードをフィールドセールスに引き渡します。引き渡しの際には、リードのニーズや課題、コミュニケーション履歴などの重要な情報を共有します。
見込み客の情報共有が十分であれば、フィールドセールスは商談やクロージングに専念できるため、成約率が高まるでしょう。
インサイドセールスの役割を知りたい方は、次の記事をチェックしてください。インサイドセールス導入のメリットや必要性についても詳しく解説しています。
>>インサイドセールスの役割とは?導入のメリットや必要性について徹底解説
インサイドセールスの種類
インサイドセールスには、主にSDR(Sales Development Representative)とBDR(Business Development Representative)の2種類があります。次の表でSDRとBDRを比較します。
SDR(インバウンド型) |
BDR(アウトバウンド型) |
|
主要な役割 |
リードの育成と商談設定 |
新規案件の創出 |
対象顧客 |
見込み客や既存顧客 |
潜在顧客や未開拓市場 |
主な活動 |
電話、メール、チャットでの |
新規リードの発掘、リサーチ |
目標 |
商談数やアポイントメントの増加 |
新規リードの発見と創出 |
成功指標 |
設定した商談数、リード育成の進捗 |
新規リード数、アポイントメント設定数 |
それぞれの種類について詳しく解説します。
種類その1:SDR(インバウンド型)
SDR(Sales Development Representative)は、インバウンド型のインサイドセールスを担当します。主に既存リードとの関係構築や、新規リードの初期対応を行います。SDRの主な目的は、自社に興味を持つリードの熱が冷めないうちにアプローチし、購買意欲を高めることです。
具体的には、ホームページやランディングページ(LP)からの資料請求やお問合せフォームに入力送信があったリードに対し、最初のアプローチを行います。アプローチの際、SDRのトークスキルやヒアリング力が顧客の印象を左右する重要なスキルとなります。
種類その2:BDR(アウトバウンド型)
BDR(Business Development Representative)は、アウトバウンド型のインサイドセールスを担当します。マーケティングチームからのリード情報が少ない場合や、新規顧客の開拓が必要な場合に、BDRは積極的なアプローチを行います。ターゲット企業の情報を収集し、キーパーソンへの接触を試みます。
BDRの活動は事前のリサーチや戦略的なアプローチが必要であり、高度なスキルが必要です。また接点の内ホワイトなリストへのアプローチをすることも多く、リードタイムは長くなりがちで、結果に結びつくまでに時間がかかることが多いです。しかし、顧客との信頼関係を築きやすく、成約に至った際の単価や継続率が高くなる傾向があるともいわれています。
BDRはとくに大企業へのアプローチにおいて効果を発揮し、企業の売上に大きく貢献します。BDRの役割は、競争が激しい市場での新規顧客開拓において重要です。
SDRとBDRについて詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。それぞれのメリットや導入手順も詳しく紹介しています。
>>アウトバウンド型インサイドセールス(BDR)とは?インバウンド型(SDR)との違いやメリットも解説
インサイドセールスのメリット
インサイドセールスには、次の5つのメリットがあります。
- 営業効率がアップする
- 営業の属人化を防げる
- 人手不足を解消できる
- アプローチできる件数が多くなる
- フィールドセールスの成約率が上がる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリットその1:営業効率がアップする
インサイドセールスは、分業体制を採用することで営業効率を大幅にアップさせます。従来の営業スタイルでは、一人の営業担当者がアポ取りから商談、クロージングまでを一貫して行なっていましたが、多大な時間と労力が必要です。
インサイドセールスが導入されることで、リードの育成や初期アプローチを専門に行う担当者が存在するため、フィールドセールスは商談やクロージングに集中できます。提案内容の精査や事前準備の時間が取れることで営業部門全体の業務生産性が向上し、効率的にリードを商談につなげられ、受注率UPも見込めるでしょう。
オンラインでの活動が主となるため、地理的な制約もなく、全国どこからでも顧客にアプローチできる点も大きな利点です。
メリットその2:営業の属人化を防げる
インサイドセールスの導入は、営業活動の属人化を防ぎます。
従来の営業スタイルでは、各営業担当者が独自の方法でリードを管理し、商談を進めていました。そのため、業務のばらつきが生じやすく、担当者の異動や退職により顧客情報が失われるリスクがあります。また、属人的であると営業担当者の退職で失った顧客が営業に引き抜かれてしまうこともあり、引継ぎがうまくいかないことも多くあります。
インサイドセールスでは、リード管理やナーチャリングのプロセスが標準化され、情報が一元管理されます。誰が対応しても同じ品質の営業活動が行えるようになり、営業活動の効率化と安定化が実現しやすくなります。
メリットその3:人手不足を解消できる
インサイドセールスは、少人数でも高い成果を上げられるため、人手不足の解消につながります。
リモートワークの普及により、在宅で働くことができる人材を活用しやすくなりました。テレワークを希望する優秀な人材を採用しやすくなり、人口減少による人材不足に対応できます。
インサイドセールスは業務の効率化をはかることで、限られた人材で多くのリードに対応できるため、組織全体の営業力を強化することが可能です。
メリットその4:アプローチできる件数が多くなる
インサイドセールスは、電話やメールを中心にリモートで営業活動を行うため、フィールドセールスと比べてアプローチできる件数が多くなります。
フィールドセールスは訪問や商談の移動時間が必要なため、1日に対応できる顧客数に限界があります。一方、インサイドセールスは移動などの時間を必要とせず、効率的に多数のリードにアプローチできるため、商機を逃さずに多くの見込み顧客に対応することが可能です。件数は個々のスキルに寄りますが、商材の知識を深めることでさらに多くの件数をこなせるでしょう。
リードナーチャリングを通じて長期的に関係を築けるため、インサイドセールスは検討度の低いリードにも継続的にアプローチし、購買意欲を高められます。
メリットその5:フィールドセールスの成約率が上がる
インサイドセールスがリードの育成を担当することで、相乗的にフィールドセールスの成約率が上げられる可能性があります。
インサイドセールスは、見込み顧客の課題やニーズをヒアリングし、購買意欲を高めるための情報提供を行います。フィールドセールスに引き渡される時点で、見込み顧客の購買意欲が高まっている状態を作っておくことは、商談の成功率を上げるために有効です。
インサイドセールスが適切にリードを育成し、ホットリードとしてフィールドセールスに引き渡すことで、成約率が向上し、企業の売上増加につながります。
また、商談獲得のインサイドセールス部隊と商談対応のフィールドセールス部隊を分業化することで「そもそも商談数が足りないのか」「営業の受注率(商談内容の質)が悪いのか」「インサイドセールスが供給している商談の質が悪いのか」など、課題を発見しやすい環境を作ることができるもの大きなメリットです。1点を修正しただけで売上が上がる、成約率が上がるとは言い切れませんが、実際に課題を可視化しやすい環境に置き、多角的に課題が見える状況にすることはとても重要といえるでしょう。
>>インサイドセールスのメリットとは?注目理由や導入ステップ、成功のポイントを解説
インサイドセールスのデメリット
インサイドセールスには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。インサイドセールスのデメリットとして、次の3つを説明します。
- 社内での連携が求められる
- 導入・運用コストが発生する
- 非対面でも信頼を得るスキルが求められる
デメリットの対策を講じることで、インサイドセールスの効果を最大限に引き出せます。
デメリットその1:社内での連携が求められる
インサイドセールスでは、分業体制を取るため社内での連携が重要です。
かつては営業担当者が一人でリード獲得から商談、クロージングまでを行なっていました。しかし、インサイドセールスを導入する、もしくはしている場合は、複数の部署や担当者が関わるようになるため、顧客情報の共有や伝達がスムーズに行える環境を整備する必要があります。
顧客情報を一元管理するためには、SFAやCRMなどのツールを導入し、リアルタイムで情報を把握できることが求められます。インサイドセールスとフィールドセールスがスムーズに連携し、顧客に対して一貫性のある対応が可能です。
デメリットその2:導入・運用コストが発生する
インサイドセールスの導入には、人材確保や教育にかかる費用が発生します。そして、SFAやCRMなどのITツールの導入コストやランニングコストもかかります。インサイドセールス導入に際して発生するコストを事前に把握し、費用対効果を検討することが重要です。
導入初期には、既存の業務フローを見直したり、新たなシステムを導入したりする必要があるため、一時的に業務負担が増えることも考慮する必要があります。
デメリットその3:非対面でも信頼を得るスキルが求められる
インサイドセールスは非対面での営業活動が中心となるため、顧客の信頼を得るためのスキルが必要です。対面での営業に比べて、電話やメールを通じたコミュニケーションでは信頼関係を築くのが難しくなります。インサイドセールス担当者は、顧客の反応を敏感に読み取り、適切な対応を行うスキルが求められます。
とくに高単価な商品や専門的なサービスを扱う場合、フィールドセールスとの連携が必要です。インサイドセールスは初期段階で顧客のニーズを正確に把握し、適切なタイミングで引き継ぐことが求められます。
インサイドセールスの導入方法について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。導入手順やおさえておくべきポイントも紹介しています。
>>インサイドセールスのメリットとは?注目理由や導入ステップ、成功のポイントを解説
インサイドセールスを導入する流れ
インサイドセールスを導入するためには、次の5つのステップを踏む必要があります。
- 営業プロセス整理とインサイドセールス業務の明確化
- インサイドセールス部門またはチームの設置
- インサイドセールススタッフの確保
- 顧客リストの作成
- KPIの設定
それぞれの流れについて詳しく見ていきましょう。
流れその1:営業プロセス整理とインサイドセールス業務の明確化
インサイドセールスを導入する際、まずは現行の営業プロセス全体を整理し、インサイドセールスが担当する範囲を明確にすることが重要です。営業プロセスを詳細に見直し、各プロセスでの業務内容や役割を明確化します。
具体的には、商材の種類や価格、顧客層に応じて、インサイドセールスが効果的に機能する部分を特定します。また、インサイドセールスがリードの初期対応やナーチャリングを行い、フィールドセールスがクロージングを担当するなど、役割分担を明確にすることがポイントです。
流れその2:インサイドセール部門またはチームの設置
インサイドセールスを設置するための3つの方法について詳しく解説します。
- 営業部門に設置する
- マーケティング部門に設置する
- 独立したインサイドセールス部門を立ち上げる
それぞれの設置方法を見ていきましょう。
営業部門に設置する
営業部門にインサイドセールスチームを設置するケースもあります。
営業部門に設置する場合、フィールドセールスとの連携が強化され、訪問営業とインサイドセールスが補完し合う形で顧客にアプローチが可能です。フィールドセールスの状況を見ながら優先度の高い顧客を選定するため、効率的な営業活動が期待できます。
マーケティング部門に設置する
インサイドセールスチームをマーケティング部門に設置する方法があります。マーケティング活動と連動してリードナーチャリングを行うことができ、イベントやセミナーなどの施策と併用することは効果的な戦略です。
また、マーケティング部門と密に連携することで、見込み顧客に対して一貫性を持ってアプローチしやすいというメリットもあります。
独立したインサイドセールス部門を立ち上げる
独立したインサイドセールス部門を設置することで、他部門からの干渉を受けずに、自由に施策を進められます。
独立した部門を立ち上げる方法では、チームの裁量が高く、迅速な意思決定が可能です。また、独立部門としての権限を持つことで、リードナーチャリングや顧客管理の専門性を高められます。
ただし、組織の中に細分化したチームが増えるということはその分目的や目標への齟齬も生まれやすくなることが予測されます。この点に注意して、KPIの握りを持って進めるなど、工夫するとよいでしょう。
インサイドセールス立ち上げの成功事例が気になる方は、次の記事をチェックしてください。導入の具体的なやり方も紹介しています。
>>インサイドセールス立ち上げの成功事例を紹介!導入の具体的なやり方も解説
流れその3:インサイドセールススタッフの確保
インサイドセールススタッフを確保するためには、次の2種類の方法があります。
- 自社で確保する
- 外注で確保する
それぞれ詳しく解説します。
自社で確保する
自社でインサイドセールススタッフを確保する場合、他部門からの異動や新規採用によってチームを構成します。
インサイドセールススタッフを自社で確保することで社内ノウハウを蓄積し、顧客からのフィードバックを直接受けられます。また、他部署とのコミュニケーションも取りやすく、柔軟な対応が可能です。
外注で確保する
即戦力を確保するためには、外注を利用する方法もあります。外部事業者を利用することで、短期間で確実な効果が期待でき、リソースの調整も容易です。しかし、ノウハウを自社の資産にしづらい点や、コミュニケーションコストが発生する点は十分に理解して進める必要があります。
インサイドセールスの内製化と外注が向いている条件を知りたい方は次の記事をチェックしてください。内製化と外注を組み合わせたハイブリッドの手法も紹介しています。
>>インサイドセールスの内製化と外注が向いている企業の条件とは?メリット・デメリットも徹底解説
流れその4:顧客リストの作成
インサイドセールスをスムーズに行うためには、詳細な顧客リストの作成が必要です。見込み顧客やフォローアップが必要な既存顧客の情報を一元管理し、リードナーチャリングを効果的に進める基盤を作ります。顧客リストには、以下のような基本情報を入れます。
- 企業名
- 業界
- 業種
- 担当者名
- 連絡先
- 規模
基本情報に加え、インサイドセールスでのやり取り内容も記録することで、フィールドセールスにスムーズに情報を引き継ぎ、商談の成功率を高められます。
またこのほかにも「決裁権があるのか」「予算はどれくらいあるのか」「導入検討時期はいつか」などのBANT情報も取得しておくことが望ましいです。
流れその5:KPIの設定
インサイドセールスの効果を測定するためには、適切なKPI(Key Performance Indicator)を設定することが重要です。KPIを設定することで、インサイドセールスの活動を評価し、改善点を見つけられます。
具体的なKPIとしては、アポイントメントの件数、商談の件数・金額、受注の件数・金額などがあげられます。初期段階ではアポイントメント件数や商談件数に焦点を当て、担当者のモチベーションを高めます。徐々に「営業に提供したホットリードの件数」や営業と連携して「受注件数」「受注金額」といった定量的なKPIを追加することもひとつの方法です。
ここで注意したいのが、このKPI設定が間違っているとまったく売上につながらないということです。たとえば、初期段階では質を求めずに量を求めて「1日のコールKPI」を設定することも往々にしてあります。しかし、量を追うあまりに質を高めることが困難なKPIを立てている企業様もお見かけします。『量質転化の法則』というものがありますが、これは、とにかく数を熟せば質が上がる、というものではありません。美しい文字を書きたいのに、汚い字を練習していても、文字は美しくなりません。美しい文字を練習する必要があるのです。量だけ追うようなKPIを設定することは、将来的な結果に結びつかないことがあるので、KPIの設定は慎重に行いましょう。
KPIの設定について知りたい方は、次の記事を参考にしてください。インサイドセールス立ち上げで失敗しないためのやり方を紹介する部分で、KPI設定を詳しく解説しています。
>>インサイドセールス立ち上げの成功事例を紹介!導入の具体的なやり方も解説
インサイドセールスで活用すべきツール
インサイドセールスを効果的に行うためには、適切なツールを活用することが重要です。主に次の3つのツールがインサイドセールスで活用されます。
- SFA
- CRM
- MA
それぞれのツールについて詳しく説明します。
ツールその1:SFA
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は、営業活動を支援するためのツールです。SFAを導入することで、商談から受注までのプロセスを一元管理し、営業活動の効率化をはかれます。
SFAは、営業活動の可視化や情報の記録・管理ができるため、組織全体の営業活動を効率的に進められます。商談記録や進捗管理を通じて、各営業メンバーの行動を把握し、業務フローの改善やコスト削減が可能です。
ツールその2:CRM
CRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)は、顧客情報を管理し、顧客との関係を強化するためのツールです。CRMを活用することで、顧客情報を一元管理し、継続的な利用促進やマーケティング強化が期待できます。
CRMは、顧客情報の詳細な分析を通じて、マーケティング戦略の強化や個々のニーズに合わせた提案に役立ちます。インサイドセールスとフィールドセールスの連携を強化し、顧客に対するきめ細やかなサポートを提供することが可能です。
ツールその3:MA
MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動化するためのツールです。MAを導入することで、膨大な顧客データの管理や見込み顧客のスコアリングを効率的に行えます。
MAは、リードの管理やスコアリング、リードに関する分析結果のレポート作成を自動化します。Web上での行動履歴を蓄積し、顧客の状況に応じてランク分けを行い、異なるメールを自動配信することで、効率的なマーケティング活動が可能です。
インサイドセールスを成功に導くポイント
インサイドセールスを成功させるためのポイントを3つ紹介します。
- 数値に基づいた効果検証を行う
- インサイドセールススタッフのスキルアップをはかる
- データを活用する
それぞれのポイントについて詳しく説明します。
ポイントその1:数値に基づいた効果検証を行う
インサイドセールスの効果を最大化するためには、定期的に数値に基づいた効果検証を行うことが重要です。数値に基づいて、PDCAサイクルを回すと良いでしょう。
事前に設定したKPIを基に、インサイドセールスの活動結果を定期的に振り返り、分析します。さらにマーケティング部門やフィールドセールス部門との連携を強化し、フィードバックを取り入れることで、効果的な戦略を構築することが可能です。
また、前述のとおり、KPI設定については量を追うだけにならないように、ホットリードの定義決めや実際の成果に結びついているのかを振り返ったタイミングでも定量的に測れるよう、慎重に詳細設定することが重要です。
ポイントその2:インサイドセールススタッフのスキルアップをはかる
インサイドセールスの成功には、スタッフのスキルアップが必須です。とくに、自社の人員を活用する場合は、継続的なトレーニングとスキル向上が重要です。
じつは、インサイドセールスの活動は、かなり専門性が高く難易度が高い職種です。というのも「お世話になっております。」という相手の第一声で特性を判断し、
・話しの速度を早くしたほうがいいか
・ゆっくり話したほうがいいか
・内容は丁寧に伝えたほうがいいか
・簡潔に話したほうがいいか
などを瞬時に判断し実際に行動に起こす必要があるからです。
仮に、ニーズのある顧客に電話できたとしても、この特性の掴み方を間違えば、商談獲得までたどり着けないこともあります。電話でのやり取りでは、限られた時間内で顧客のニーズを引き出し、最適な提案を行う高度な技術が必要なため、自社人員であれば、社内教育は必須となります。
インサイドセールスの教育について知りたい方は、次の記事を参考にしてください。インサイドセールスの内製化における研修についても詳しく解説しています。
>>インサイドセールス教育の内製化でセールスチームを強化!導入方法も紹介
ポイントその3:データを活用する
インサイドセールスの業務を効率化し、効果的に進めるためには、データの活用が不可欠です。SFA、CRM、MAなどの適切な支援ツールを活用することで、戦略的なセールスが可能になります。
SFAは営業活動の可視化と管理をサポートし、CRMは顧客情報の一元管理と顧客関係の強化に役立ちます。また、MAはマーケティング活動の自動化を通じて、見込み顧客のスコアリングやパーソナライズされたアプローチが可能です。
各ツールを組み合わせることで、営業活動をデータに基づいて最適化します。
インサイドセールスの理解を深めて営業効率をアップしよう
インサイドセールスは、顧客との非対面コミュニケーションを通じて効率的な営業活動を実現する手法です。
本記事では、インサイドセールスの基本知識や導入の流れ、成功のためのポイントについて詳しく解説しました。福田氏のTHE MODELで一躍有名になったインサイドセールスという概念ですが、自社に『ザ・モデル型』を投入すれば売上が上がる、と思っている方も一定数いらっしゃいますが、それは違います。
分業化されていることには大きくメリットが2つあり、1つめは「専門性が高くなり生産性が上がること」、2つ目が「改善点が明確になる」という点です。
分業することで、専門性が高まりスキルアップにつながるのは言わずもがな、それだけではなくチームごとのKPIが可視化しやすくなり、どのフェーズで数値がへこむかがわかります。わかった場合は、その接続の前段階から見直してみることが重要です。
インサイドセールスの基本を網羅しているので、営業効率を高めたい方はぜひ参考にしてみてくださいね。
ネオキャリアでは、インサイドセールスの導入と運用を支援するサービスを提供しています。専門スタッフによるサポートにより、営業効率を高めることが可能です。インサイドセールスの効果を最大限に引き出すために、ネオキャリアのインサイドセールスサービスをご検討ください。