
外注範囲決めが重要!決算をアウトソーシングするメリットと3つの注意点
会社経営において、年に一度の年次決算は、法律でも定められている欠かすことのできない業務です。
ゆとりを持ったスケジュールで準備できればいいのですが、日々の業務に追われ、決算期間近に慌てて作業をすることになるのも珍しくありません。
しかし、そんな決算業務自体を、記帳代行業者や決算代行業者に外注(アウトソーシング)するという方法があります。
決算には専門的な知識が必要であるため、適した人材が社内にいないというケースでも有用です。
今回の記事では、決算業務のアウトソーシングについて、ポイントを絞って端的に解説していきます。
目次[非表示]
- 1.決算をアウトソーシングするメリット
- 1.1.決算書のミスが減る
- 1.2.経理の負担が減る
- 1.3.決算の体制を整えやすい
- 2.決算をアウトソーシングする際の注意点
- 2.1.マニュアルの作成が必要な場合がある
- 2.2.経理担当の社員が育たない
- 2.3.対応が遅くなる場合がある
- 3.決算のアウトソーシングは主に2通り
- 3.1.決算処理や決算書の作成のみを依頼する
- 3.2.経理業務すべてを依頼する
- 4.まとめ
決算をアウトソーシングするメリット
決算業務は、決算期である短い期間に膨大に作業量が増えるため、企業にとってとても負担の大きいものです。
必要な期間だけ人員を採用し補填することも現実的ではありませんし、そもそも経理の知識を持つ社員を集めること自体が容易ではありません。
しかし、決算をアウトソーシングすることで、これらの問題を一挙に解消することができます。
決算書のミスが減る
決算書の作成は、専門的な知識を駆使し、膨大な数字を取り扱うミスの起きやすい業務です。
しかし、そのミスを見落とし放置してしまうと、結果として過度な納税や脱税を疑われるような状況を生んでしまうため、ミスの許されないものでもあります。
代行業者であれば、深い知識と経験を持ったプロフェッショナルが、自社社員に代わって決算書を作成するため、より精度の高い作業が期待できます。
また、税法などの毎年少しずつ変化する法律についても常に情報をアップデートしているため、自社で決算書を作る際に起こりがちな、法律の認識不足・誤解によるミスを回避することも可能です。
経理の負担が減る
経理部は、日々の業務として出入金の管理や原価計算、場合によっては機械や備品などの資産管理を兼任していますが、決算期には、そこに決算整理、決算書作成、税金計算、申告・納税までの決算業務が上乗せされることになります。
ただでさえ複雑な決算業務を、日々の業務と並行して遂行しなくてはならないため、決算期の経理部の業務負担は著しいものです。
決算業務のすべて、または一部だけでもアウトソーシングすることができれば、経理の業務負担を大幅に減らすことができます。
決算の体制を整えやすい
アウトソーシングを導入することで、決算に関して積極的な社内意識の改善が期待できます。
必ず必要なものは年に一度の年次決算ですが、この年次決算の負担が軽くなることにより、月次決算の導入も現実的になります。
月次決算が導入できれば、精度の高い成長予測ができるようになるため、業務改善のプランも立てやすく、企業の発展・成長につながります。
決算をアウトソーシングする際の注意点
メリットの多い決算のアウトソーシングですが、いくつか注意点もあります。
決済をアウトソーシングする際に、注意したい点をご紹介します。
マニュアルの作成が必要な場合がある
決算業務をアウトソーシングするということは、企業情報の中でも特に重要な出納に関する情報や、資産情報などを外部に開示するということです。
そのため、これら機密情報の取り扱いや、今まで社内で決算業務をどのように行ってきたか、どのように行って欲しいかを微細までマニュアル化し、外注先と共有する体制を整えなくてはなりません。
経理全体をアウトソーシングする方針になった場合、これら情報のすり合わせを含む移設の作業は、数ヶ月単位で時間がかかることもあります。
経理担当の社員が育たない
毎年の年次決算を外部に委託することで、社内に年次決算の方法・手順を理解している人間がいなくなってしまう危険性があります。
決算の知識を持つ経理担当の社員が育たないことで、以降はアウトソーシングに頼らざるを得ない社内環境になってしまう可能性に注意しましょう。
対応が遅くなる場合がある
決算業務を社外で行う場合、緊急時の対応が遅れてしまうことが考えられます。
提出した書類に不備があった、修正をしたいなどといった状況に、通常であれば直接経理部に申告すればいいところを、外注先に連絡し、返答を待つという2倍の工数が必要になります。
決算のアウトソーシングは主に2通り
決算のアウトソーシングには、主に2通りのパターンがあります。
- 決算処理や決算書の作成のみを依頼する
- 経理業務すべてを依頼する
経理業務すべてを依頼してしまえば、決算期前の細かな情報共有作業も省け、大変便利ですが、運用コストもそのぶん大きくかかります。
自社内で、どの程度の業務が負担できるのかを基準に選択しましょう。
決算処理や決算書の作成のみを依頼する
決算期のみに代行業者を利用する方法です。
一連の決算業務のうち、必要な業務だけを切り出して依頼することが可能です。
最低限のコストで活用することができ、自社と外注先双方向の密な連携が必要となるため、ノウハウの蓄積の恩恵も多少受けることができます。
しかし、外注先との事前打合せや経過の連絡作業など、外注化したことにより発生する新たな業務もあります。
経理業務すべてを依頼する
決算業務だけでなく、経理におけるすべての業務を年間通して代行業者にアウトソーシングする方法です。
社内の経理部を丸ごと外部に置くイメージであるため、新興のベンチャー企業や中小企業など、経理部を単独で備えることが難しい企業におすすめの方法です。
決算期にもそのままワンストップで決算業務を依頼できるので、特別な工数が増えることもなく、社内負担も最小限です。
まとめ
毎年の年次決算業務を代行業者にアウトソーシングすることで考えられるメリットと注意点は、以下のようなものです。
メリット
- プロによる正確な決算書の作成
- 経理部が通常業務に集中できる
- 決済の積極的な導入、企業成長につながる
注意点
- マニュアルの作成など緊密な連携が必要
- 経理担当が決済業務に対応できなくなる
- 不備修正などの対応に時間がかかる
依頼する範囲が広いほどにデメリットも色濃くなっていく特徴があり、コストも高額になります。
自社が負担できる部分、代行業者に任せたい部分のバランスをよく検討し、見極めることで効果的な運用が可能です。