【料金相場も解説】年末調整はアウトソーシングすべき?メリット・デメリットを解説!

年に一度の年末調整。この時期になると、経理・総務担当者はコア業務と並行して年末調整業務を行う必要があり、残業や休日出勤が常態化してしまう企業も少なくありません。
近年、社員の業務負担の多さや法改正への対応の難しさから、年末調整を外部の専門業者へアウトソーシング(外注)する企業が増加しています。
しかし、「アウトソーシングって結局費用が高いのでは?」「自社でやるのと比べて本当に効率的?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、年末調整のアウトソーシングを検討している担当者の方に向けて、
- アウトソーシングの具体的なメリット・デメリット
- 費用相場と料金体系
- 費用対効果を判断するためのチェックポイント
を徹底解説します。アウトソーシングがあなたの企業にとって最適な解決策となるのか、ぜひこの記事で確認してみましょう。
目次[非表示]
- 1.年末調整をアウトソーシングするメリット
- 1.1.コスト削減と高い費用対効果
- 1.2.コア業務への集中と生産性向上
- 1.3.法制度への確実な対応
- 2.年末調整をアウトソーシングする際の注意点
- 2.1.社内で人材が育たない
- 2.2.アウトソーシング先の対応範囲と追加料金
- 2.3.個人情報の管理
- 3.年末調整をアウトソーシングする際の料金体系と費用相場
- 3.1.料金体系の基本パターン
- 3.2.費用相場
- 3.3.費用対効果の考え方
- 4.年末調整のアウトソーシングサービス4選
- 4.1.WEB年末調整アウトソーシング(株式会社日本アウトソーシングセンター)
- 4.2.ラクラス年末調整BPOサービス(ラクラス株式会社)
- 4.3.年末調整(SmartHR)
- 4.4.年末調整業務アウトソーシング(株式会社NTTマーケティングアクトProCX)
- 5.まとめ
年末調整をアウトソーシングするメリット
年末調整をアウトソーシングすることで、企業は主に以下の3つの具体的なメリットを得られます。
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それぞれどういったメリットになるのかを具体的にお伝えしていきます。
コスト削減と高い費用対効果
年末調整をアウトソーシングすることで、人件費やミスによる損失を削減できる可能性があります。
年に一度の業務である年末調整は、毎年同じ担当者が行っていたとしても、法改正の確認や書類の準備に多くの時間がかかり、効率が悪いと感じる方も少なくないでしょう。
しかしアウトソーシングをすれば、年末調整のプロが業務を担います。専門知識を持つプロは、社内の担当者よりも遥かに短い時間で、かつ高い正確性で業務を完遂できます。
結果として、自社の社員の残業代や休日出勤手当、慣れない業務によるミスの修正にかかる時間などを総合的に考えると、アウトソーシングの方が総合的な費用は安くなり、高い費用対効果を得られる可能性が高いと言えるでしょう。
コア業務への集中と生産性向上
年末調整の時期は、担当者の業務が圧迫され、本来注力すべきコア業務がおろそかになりがちです。
年末調整をアウトソーシングすれば、社員は繁忙期でも本来のコア業務に集中でき、ノンコア業務による業務負担が軽減されることで、疲労によるミスも防ぐことができます。
社員が最も得意とするコア業務に集中できる体制は、作業効率の向上、ひいては企業全体の売上アップに繋がる可能性もあるでしょう。
法制度への確実な対応
近年、「働き方改革関連法」の適用や、「インボイス制度」の導入など、税制や労務に関する法令は毎年改定されています。
法令遵守(コンプライアンス)の意識が高まっている今、昔は問題なかった業務フローでも、今では罰則の対象になり得るケースも少なくありません。
アウトソーシングを活用することで、最新の税制や法令に精通した専門家が業務を担当します。これにより、法令改定への対応漏れや計算ミスを防ぎ、企業の法令遵守を確実に行うことが可能です。
年末調整をアウトソーシングする際の注意点
年末調整をアウトソーシングする際、以下のことに注意する必要があります。
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それぞれ何に注意する必要があるのかをお伝えするので、アウトソーシングをする前に確認しておきましょう。
社内で人材が育たない
アウトソーシングに完全に頼り切ってしまうと、社内で年末調整の業務を経験する機会が失われ、ノウハウを持つ人材が育たなくなる可能性があります。
将来的に内製化を検討している場合は、アウトソーシングを活用しつつも、並行して社内教育を行ったり、部署間で情報共有を進めたりするなど、無理なく内製化できる体制を整えると良いでしょう。
アウトソーシング先の対応範囲と追加料金
トラブルになりやすいのが、対応範囲と料金体系です。アウトソーシングを依頼する前に、以下の点を確認するようにしましょう。
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これらを確認しないと、「思ったほど負担が軽減されなかった」「思わぬ追加費用が発生した」という事態になりかねません。事前に見積もりとサービス内容を詳しく確認することが重要です。
個人情報の管理
年末調整業務では、マイナンバーや給与情報といった機密性の高い個人情報を取り扱います。依頼するアウトソーシング業者が、プライバシーマークの取得や、強固なセキュリティ体制を構築しているかなど、個人情報の管理体制を必ず確認しましょう。
情報漏洩は企業の信頼を大きく損なう重大なリスクです。資料請求や担当者への確認などを通して、信頼できる業者を選定しましょう。
年末調整をアウトソーシングする際の料金体系と費用相場
年末調整アウトソーシングの料金は、主に従業員数と業務の対応範囲によって変動しますが、料金体系は大きく分けて2つのパターンに分類されます。
料金体系の基本パターン
多くの業者が採用している料金体系は、以下のパターンに分かれます。
料金体系のパターン | 特徴 |
|---|---|
①基本料金+従量課金 | サービス利用のための基本料金を設定し、それに従業員1人あたりの単価を上乗せしていく方式。最も一般的で、従業員数が変動する企業に向いています。 |
②人数一律定額型 | 一定の従業員数(例:30名まで)を上限として、一律の料金が設定される方式。人数が明確で急激に変動しない企業にとっては、予算が立てやすいのがメリットです。 |
費用相場
特に採用例が多い【①基本料金+従量課金型】の相場目安は以下の通りです。
項目 | 費用相場 | 備考 |
|---|---|---|
基本料金 | 8,000円~10,000円程度 | サービスを利用するための固定費用。この基本料金の中に、数名(例:10名まで)の従業員数を含むプラン設定が多く見られます。 |
従量課金 | 1人あたり1,000円~3,000円程度 | 基本料金に含まれる人数を超えた場合に発生する追加費用。企業規模が大きくなるほど、1人あたりの単価が安くなる傾向があります。 |
たとえば、従業員数が15名の企業がアウトソーシングを利用する場合、「基本料金+5名分の従量課金」といった形で費用が算出されるのが一般的です。
費用対効果の考え方
従業員15名ほどの規模の場合、アウトソーシング費用が30,000円以内であれば、社員がコア業務に集中できた分の機会損失を防ぎつつ、ほぼ同額か、それ以下の費用で年末調整の業務を完遂できる可能性が高いと言えるでしょう。
年末調整のアウトソーシングサービス4選
WEB年末調整アウトソーシング(株式会社日本アウトソーシングセンター)

場所を選ばないマルチデバイス対応のシステムを利用し、設問通り回答するだけで年末調整が終了。従業員の負担を最小限に抑えます。
各種申告書の印刷と配布は不要なので人事部の負担もなくスムーズに年末調整を進められます。
料金:最大1,200円/名(スタンダートプラン)
URL:https://www.jpnoc.co.jp/lp/nenmatsuchousei/
ラクラス年末調整BPOサービス(ラクラス株式会社)

クラウドとBPOを組み合わせたサービスです。主に従業員数1000人以上の企業向けに提供されています。画像認識AIと目視を組み合わせ、保険と住宅控除に関する証明書類を読み取ります。人事部に代わって、証明書類の収集と確認を代行します。
料金:要問合せ
URL:https://www.lacras.co.jp/tax/
年末調整(SmartHR)

Web上で完結する、ペーパレス年末調整が可能。管理者向け年末調整ウェビナーを定期開催し、はじめてでも安心して導入できます。チャットやオンラインでの相談も可能なため問い合わせ対応の負荷も軽減できます。
料金:要問合せ
URL:https://smarthr.jp/nc/
年末調整業務アウトソーシング(株式会社NTTマーケティングアクトProCX)

NTTグループをはじめとする32万人の利用実績があり、従業員数・業種問わず対応可能です。指定サービス利用の場合を利用すると、スマートフォンで撮影・送信するだけで申請ができ、作業工数を大幅に削減できます。
基本料金:217,200円+処理料金:1,600円/名(従業員数~499名まで)
URL:https://www.nttactprocx.com/solution/bpo/nencho.html
まとめ
年末調整のアウトソーシングは、一時的な出費に見えるかもしれませんが、社員の時間と労力を買い取り、生産性の向上と法令遵守リスクの低減という大きなリターンを得られる、費用対効果の高い経営判断です。
まずは複数の業者から見積もりを取り、「自社で内製化する場合のコスト」と「アウトソーシングの料金」を比較し、自社に向いているサービスを選びましょう。




