こんな管理はNG!コールセンター品質管理の方法をわかりやすく解説
コールセンターの応対品質管理を行うことは顧客満足へと繋がり、さらに従業員の意識向上、会社の成長にも大きくかかわってきます。
この記事では応対品質の管理方法やコツをわかりやすくご紹介します。
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目次[非表示]
- 1.コールセンターの応対品質管理の重要性
- 2.コールセンターの応対品質はなぜ低下するのか
- 3.コールセンターで管理する「品質」とは
- 3.1.1.コールセンター運用品質
- 3.2.2.オペレーター応対品質
- 4.コールセンター応対品質のチェック方法
- 4.1.1.第三者機関による覆面調査
- 4.2.2.自社内でのモニタリング
- 5.コールセンター応対品質管理の方法
- 6.アウトバウンドコールの品質管理について
- 7.こんな管理方法はNG
- 7.1.モニタリングのフィードバックをしない
- 7.2.モニタリングを目的にしてしまう
- 8.まとめ
コールセンターの応対品質管理の重要性
コールセンターは、1980年代に顧客からの問い合わせ窓口を一本化したことから始まりました。
1990年代に入ると、コンピューターの普及によりコールセンターもシステム化され、より効率的に対応できるようになりました。
さらに「CRM=Cutomer Relationship Management(顧客管理)」が導入され、コールセンターは単なる電話対応から顧客満足向上に重きを置くようになります。
そのため現在のコールセンターは、「聞かれたことに応えるだけ」ではなく、より「お客様満足を追及した応対」が必要となってきました。
今のコールセンターでは、「応対品質管理」は最重要課題となっているのです。
コールセンターの応対品質はなぜ低下するのか
コールセンターにおいての応対品質管理の重要性は前述したとおりですが、肝心の応対品質は低下する傾向が多く見られます。
いったいなぜ重要課題でありながら、応対品質は低下してしまうのでしょうか。
結論からいうと、コールセンター内でのオペレーターの品質管理そのものができていないからほかなりません。
オペレーターの品質管理ができていないとどういう結果になるか、その原因と結果について考えてみましょう。
原因①新人研修の問題
コールセンターへ配属となった新人オペレーターの多くは、着台になる前に研修を受けますが、その研修に問題がある場合、間違いなく応対品質は低下します。
入社後の新人研修は大きく分けて二つの内容を実施します。
一つ目は、社会人としての基礎知識やビジネスマナーを学ぶビジネスマインド研修二つ目は、業務に即した実務研修です。
一つ目の研修では、会社の理念や方針、目的・目標を学ばせ、社会の一員であり、会社の一員であるという意識を持ってもらうために行います。
さらにコールセンターは顧客と直に話をする貴重な部門であるため、「会社の顔」という大切な一面もあります。
このことの重要性をしっかりと学ばせているか、いないかでは応対に大きな影響が出るのはいうまでもありません。
二つ目の実務研修は、顧客の問い合わせに対して正確かつ迅速に対処することを学ばせる研修です。顧客は用があって電話をしてくるわけですが、その時間は無限ではありません。
限られた時間で顧客に納得のいく回答をしなくてはならないのですから、オペレーター自身もしっかりとした知識を吸収する必要があります。
自信をもって案内や回答ができなければ、品質は低下するばかりです。
原因②着台デビューしたあとはオペレーター任せでフォローをしない
新人研修が終了すると新人オペレーターは各チームへ配属となります。
それまではトレーナーや同期入社の社員と一緒に研修を受けていましたが、デビューとなれば「独り立ち」です。
手取り足取り教えてくれたトレーナーと別れ、苦楽を共にした同期の仲間とも別れ、一人で受電をすることになります。
しかしここで気を付けなくてはいけないことは「独り立ち」は「独り」ではない、ということです。
座学研修の態度やOJTが優秀。研修期間中の小テストやアンケート結果も良く、非常に期待ができるオペレーターだとしても、独り立ち後に「独り」にしてはいけません。
どんなに優秀なオペレーターも、そこでは「新人」であって、自信が少なく不安が多いものです。
経験者だから大丈夫、と放任をしていると、思い込みで業務を行うようになったり、不安に駆られ受電が怖くなってしまったり、最悪の場合、退職に至ってしまう事態になりかねません。
思い込みで業務をすれば、誤った対応となりクレームも出るでしょう。
また受電が怖くなり退職などになれば、人手不足からサービスレベルの低下に繋がり、応対品質は低下の一途をたどることになります。
コールセンターで管理する「品質」とは
そもそも「品質管理」とは、製品やサービスの品質の安定化と向上を図るために検証や検査をして、その保証をすることです。
できるだけコストをかけず効率的に行うことも必要です。
このことを踏まえて、コールセンターで管理すべき「品質」について考えてみましょう。
1.コールセンター運用品質
正しいコールセンターの運用とは、高いサービスレベルを保つことにあります。そのためには、適切な人員配置が非常に重要です。
単に応答率を上げるのではなく、決められた時間内に応答するサービスレベルを向上させることでさらに顧客満足を高めることができます。
2.オペレーター応対品質
顧客と直接応対するオペレーターの応対は顧客満足に大きな影響を与えます。そのためオペレーターは、正しい接遇マナーを身に付け、迅速かつ正確に業務を遂行することが最大の課題となります。
コールセンターには「インバウンド」と「アウトバウンド」がありますが、品質管理の基本的な考え方は同じです。ただし受電と架電の違いから管理方法に違いがあります。(後述)このようにコールセンターにおいて品質管理は非常に大切な役割を持っています。
もしも品質管理をせずにコールセンターを運営した場合、次のような事態が予測されます。
- 顧客へ対する統一したサービスの提供ができなくなる
- 解消されない人手不足によるサービスレベルの低下、クレームの増大
これらはほんの一例にすぎません。
品質管理をしないということは、コールセンターが機能しないだけでなく、会社そのものへ甚大な影響を及ぼすこととなるでしょう。
コールセンター応対品質のチェック方法
では応対品質のチェックは、具体的にどのような方法があるでしょうか。
1.第三者機関による覆面調査
「ミステリーコール」といわれているもので、コールセンターやお客様相談室など、顧客と直接つながっている部署に一般の顧客として架電をし、その応対を調査するものです。
顧客視点でオペレーターの調査をするので、より厳しい目での評価となります。
評価内容は、依頼した調査機関との打ち合わせで決定しますが、概ね以下の内容となります。
①製品やサービスについての知識
②正しい接遇マナー
③ホスピタリティが感じられるか
④適切なクレーム対応
また第三者機関を利用していますので、他社と比較をすることができます。
自社の現状把握と弱みを知ることで、応対品質を向上させていくことに大いに役立ちます。
2.自社内でのモニタリング
顧客を装う「ミステリーコール」と違い、管理者または専任者が顧客とオペレーターの通話を直接 聞き、精査するのが社内モニタリングです。
社内でモニタリングをすることは、業務処理能力以外にも、顧客に対するオペレーターのコミュニケーション能力も知ることになり、応対品質の向上に非常に役立ちます。
またモニタリングを実施し現在の状況を把握することは、オペレーターの個人評価ともなり、高い評価はモチーションアップになります。
モニタリング結果を知り、改善をしたオペレーターは自分の仕事に自信を持ち、なお一層の努力をするようになるでしょう。
そうすると定着率は上がり、離職率はおのずと低下します。人材が安定することによって、サービスレベルも安定し、結果としてやはり応対品質の向上へとつながっていくのです。自社内でのモニタリングは必ず行いたいチェック方法です。
モニタリング内容と手法は概ね以下のとおりです。
【モニタリング内容】
1.オープニングトークが適切か |
感謝・歓迎の挨拶から始まっているか |
---|---|
2.正しいトークスキルが使えているか |
聴き心地の良い話し方ができるか、適切な言葉遣いができているか |
3.相手の話を理解しているか |
話がかみ合っているか |
4.正しい情報が伝えられているか |
会社のルールに則っているか |
5.寄り添った応対ができるか |
顧客満足を意識しているか(ホスピタリティ) |
6.クロージングトークが適切か |
感謝の気持ちで終話しているか |
【モニタリングの手法】
- 遠隔で音声のみ、応対中の様子をリアルタイムでモニタリング
- 応対中のオペレーターの横に座り、操作画面も含めたモニタリング
- 録音した音声データをモニタリング
Zoomなどを利用し、画面共有をしたうえでのモニタリングも可能です。
在宅勤務などでもモニタリングができるシステムですので取り入れやすいでしょう。
コールセンター応対品質管理の方法
コールセンターの応対品質を確かなものにするためには、適正な管理が必要となります。
誰が・いつ・どのようにして管理をするのが効果的なのか考えてみましょう。
コールセンターの応対品質を管理するには適切な組織づくりが欠かせない
前述したとおり、「聞かれたことに応えるだけ」ではなく、「お客様満足を追求」した応対が必要となっている現在、応対品質管理は最重要課題となっています。
応対品質を管理するということは、コールセンターそのものを管理するといっても過言ではありません。
そのためには適切な組織づくりが重要です。
SV任せにしない
支援チームを作るコールセンターを健全に運営していくためには、オペレーターだけで構成するのではなく、受電(架電)業務を支える役割が必要です。
多くのコールセンターでは、オペレーターのシフト作成や研修などをSVが行っていますが、できれば専任チームを設けてコールセンターを運用することがベストでしょう。
なぜならば、SVには本来の業務(オペレーターのサポートやエスカレーション対応)に専念させることによってさらに「顧客満足」に厚みを持たせることができからです。
必要な支援チームは、適正な人員配置をするオペレーションチームと人材育成を担うトレーニングチームです。
人員の確保が難しくチームを作ることができない場合は、各担当者のレポートラインをコールセンター長とする、独立した配置にしましょう。
オペレーションチームとトレーナーチームの役割と品質管理
オペレーションチーム
サービスレベル向上のため、適切な人員配置をするチーム
【管理方法】
いつ |
常時(コールセンター営業時間) 気を付ける時間帯:ランチ時間(オペレーターの層が薄くなるため) |
---|---|
誰が |
WFM担当者(Workforce Management) |
どのようにして |
|
トレーニングチーム
オペレーター人材育成を担当
またオペレーターのスキルに合わせた研修を実施し、コールセンター全体の応対品質の向上を使命とする
【管理方法】
誰が |
|
---|---|
いつ/どのようにして |
|
アウトバウンドコールの品質管理について
アウトバウンドの管理は、「架電件数」「アポイントや予約ができた件数」「成約した件数」など、目的達成数が対象となっています。
そのため架電するオペレーターも目的達成に重きを置き、いかに効率的に件数をとることができるか、に注力してしまい、応対品質が後回しになっている場合が多く見られます。
そもそもアウトバウンドは「用があって電話をかけてくる」インバウンドと違い、顧客にニーズはありません。
また架電のタイミングも会社都合のため、顧客の迷惑になりかねません。
これは顧客の損失へつながる恐れもあり、危険です。アウトバウンドは、そういった側面も踏まえ、インバウンド同様、またはそれ以上の品質管理が必要でしょう。
トークスクリプトを充実させ、ホスピタリティを感じさせる応対技術が不可欠です。ロールプレイングも定期的に取り入れましょう。
こんな管理方法はNG
これまで応対品質の適切な管理やコツについてお話をしてきました。最後に誤った管理方法について触れておきます。
モニタリングのフィードバックをしない
モニタリングはフィードバックをしない、または遅いと意味がありません。
モニタリング実施後は、できるだけ早くフィードバックをし、次の業務の反映させるます。フィードバックは「悪い点の指摘」ではありません。改善すべき点を伝えるのはもちろん、良かったところも必ずフィードバックしましょう。
漠然と「良かった」「悪かった」ではなく、より具体的なフィードバックが必要です。「がんばってください」というような精神論だけにならないよう、モニタリング担当者は、自身の傾聴スキルやフィードバックスキルは常に磨いておきましょう。
モニタリングを目的にしてしまう
モニタリングはあくまで応対品質管理の手段です。モニタリングをすることで満足してしまい、本来の目的を見失うことがないよう、管理者は「なぜモニタリングが必要なのか」ということを常に考えていなくてはなりません。
まとめ
これまで応対時間の長さは「仕方ないこと」という考えでした。しかし「お客様満足の追求」が進むにつれ、より迅速で正確、かつ接遇やマナーも兼ね備えた「最適なコミュニケーション能力」が重視されるようになりました。
企業の成長は「お客様に最善を尽くすこと」から始まります。コールセンターはその実現に欠かせない部門です。
この記事を通して今後のコールセンター運営に役立つことができることを心から願っています。
ノウハウ・リソースがないとお困りの企業様へ
コールセンターでの応対品質管理の重要性は十分認識できたが、ノウハウ、リソースがないとお困りの場合、コールセンター業務を外注(アウトソーシング)するという方法もあります。
ネオキャリアの「コールセンター代行サービス」は、10,000社以上の実績と豊富なノウハウを基に、コールセンター業務の課題解決をサポートします。
応対率、応対品質共に向上した企業様の成功事例資料などをご提供していますので、お気軽にお問い合わせください。
【著者情報】北川 たまき
大手タクシー会社のコールセンター、外資系メーカーのカスタマーサービスにて研修講師を務める。わかりやすく、もっと読みたくなるような「読む研修」を得意とする、研修講師×ライター。