事業継続だけじゃない!企業価値を高めるBCP策定のすすめ

最終更新日 2020.07.05

「BCP」という言葉をご存知でしょうか。

BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字をとった言葉です。テロや災害、不祥事といった緊急事態において、損害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を行うために取り決めておく計画のことをいいます。近年、このBCPが重要視されるようになってきました。

「会社からBCP策定の指示を受けたけど、何から着手すべきかわからない」「そもそも策定するメリットって何だろう」という方も少なくないのではないでしょうか。今回は多くの企業で策定が進みつつあるBCPについてご紹介します。

いつ起こるかわからない「緊急事態」。そのリスクに備えるために

2020年、各地で猛威を振っている新型コロナウイルス。その影響で、多くの企業が先行きの見えない不安な場面に直面しています。経営資産への影響を最小限に抑えるために、リモートワークを推進することで社内の感染拡大防止に取り組んだり、コロナ後を見据えて、業績立て直しや顧客との関係性継続に努めたりと、さまざまな対応に追われています。

また、新型コロナウイルスの拡大以外にも、地震や台風などの自然災害、火災や爆発事故、情報セキュリティ事故、テロ攻撃など、予測できない「緊急事態」は数多く存在します。とはいえ、発生時に備えて、できる限りそのリスクに備えておきたいというのも事実です。

“事業継続”に特化した戦略、BCP

このような状況下で重要となるのが、BCPです。

2011年の東日本大震災以降、大手を中心にBCPの必要性を感じる企業が増え、中でも金融業・保険業・情報通信業・運輸業・郵便業など、個人情報を扱う業種で必要性が高まっています。今後は企業規模に関わらず、同様に取り組むケースが増えていくのではないでしょうか。

緊急事態に備えるという点では、防災計画と同じ意味で使われることもあります。

では、BCPと防災計画との違いはどこにあるのでしょうか。

それは、「命」を守るのか、「事業」を守るのか、という点です。

企業の「資産」「財産」である人命・建物・情報を守るという防災に対し、BCPは「事業」を守ることを目的とします。

事業を継続させるという使命のもと、もしもの緊急事態が起こった際の影響を想定し、対策を練った上で備える、事業継続に特化した戦略こそがBCPといえるでしょう。

BCP策定の具体的な内容とは

それではBCP策定の具体的な手順を見ていきましょう。

・自社の中核事業を把握する

大小さまざまな事業がある中で、優先して継続・復旧させるべき中核事業が何かを明確にします。

中核事業が特定できたら、そこに付随する重要業務や経営資源(ヒト・モノ・カネ・場所・情報)を把握していきます。この際「会社の売上げに最も寄与している事業」「業務の延滞による損害が最も大きい事業」「市場シェアや会社の信頼を維持するために重要な事業」などが判断基準となります。

・被害を想定する

緊急事態が起こった場合、中核事業を継続するにあたって影響を受ける経営資源、支障が及ぶ規模を漏れなく把握しましょう。ヒト・モノ・カネ・情報・といった要素から、業務継続に不可欠な経営資源を把握することで、業務の優先順位付け、目標復旧時間を算出することが可能になります。

・代替案を用意する

中核事業の継続に必要な資源が利用できなくなってしまった場合、資源の代替を確保する手段を検討します。

経営資源(ヒト・モノ・カネ・場所・情報)を細分化していくと、拠点や設備、稼働従業員数、資金、通信手段、各種インフラ、情報のバックアップなどが挙げられます。

・計画を策定〜実行する

緊急時の手順及び情報が具体的に定め、「事業継続の成果物」が生み出された時点でBCP対応は完了です。「計画」が定まったのち、「BCM(Business Continuity Management)」という事業計画マネジメントに沿って、従業員のスキル向上やツールの導入、重要業務の特定や分析といった行動をとっていきましょう。

BCPに取り組むメリットとは?

ここまで、BCPとは何か、どのように策定を進めるべきかについて紹介してきました。最後に、平常時からBCPに取り組むことによるメリットをご紹介します。

まずは、緊急事態発生時への速やかな対応が取れるようになることで、事業の早期復旧に取り組み、経営資産への影響を最小限に抑えることができます。また、顧客からの信頼獲得という観点でも大きなメリットがあります。もしもの場合に取引先が稼働しなければ業務に支障が及ぶことが想定されるため、顧客も業者選定の際には「緊急時に事業継続に必要な資源の代替調達や早期復旧ができるかどうか」という点が大きな判断材料になるのではないでしょうか。

また、BCP策定にあたり改めて従業員一人ひとりが自身の業務の重要性を再認識したり、業務をマニュアル化することで生産性向上にもつながります。結果的にその積み重ねが、中長期的な戦略立案など企業価値の維持・向上にもつながっていくのです。

このように、BCPの策定を行うことは企業にとって様々なメリットがあります。

忘れてはいけないのは、BCP策定することがゴールではないということ。いざというときに実行に移せるよう、計画の実行をイメージしておきましょう。具体的な取り組みについても日頃から社内で共有するなどして、BCPに向き合うことが大切です。

事業の継続が世の中にどう影響を与えていくのか、一人ひとりが当事者として考えることで企業価値はさらに高まっていくでしょう。

企業を強くし、持続的成長の鍵を握るといわれるBCP。この機会に是非積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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