業務効率を上げるRPAのメリットや注意点、BPOとの違いを解説!
毎日の業務に追われ、猫の手も借りたいと思っている方も多いでしょうが、今の時代であれば猫の手ではなく、ロボットの力を借りることができます。
「RPA」と呼ばれるシステムを導入することによって、データ入力や転記、情報収集などの反復性のある単純作業を、ソフトウェアロボットに任せてしまうことが可能です。
AIやロボットの導入と聞くと複雑で専門的なイメージがありますが、RPAは専門知識のない一般事業にこそ、親和性の高いシステムです。
今回の記事では、そんなRPAについて、概要から導入についてのさまざまな情報や、BPOとの違いなどについてわかりやすく解説していきます。
RPAとは?
RPAとは、「ロボティック・プロセス・オートメーション」の頭文字を取った略称であり、ソフトウェアロボットによる業務代行のことを指します。
ロボットによる業務代行と聞くと、工場やライン作業などで作業するロボットを思い浮かべますが、RPAはデータ入力や転記、インターネット上からの情報収集やその仕分けなど、事務作業・ホワイトワーカーの業務代行のことを特別に呼称します。
自分で業務の効率化を思考する事から、AIと非常に近しい関係性を持ったシステムです。
また、マイクロソフト社の開発するOfficeシステムによる「マクロ」と共通する部分がありますが、RPAではそのOfficeやブラウザ、独自の社内システムなどのアプリケーションを横断して、作業の自動化が行えることに特徴があります。
RPAのメリット
RPA導入のメリットには、「業務の効率化」「コストの削減」「ミスの削減」の3つが主なものとして挙げられます。
ロボットが作業を行うということは、人間よりも作業の速度が速く、ヒューマンエラーも起きないということです。
業務の効率化
RPAを導入することで、業務の効率化が可能になります。
ロボット1台あたりの作業効率は、2〜5人の人間に相当するといわれています。
工数が多い作業ほどRPAを活用するメリットは高く、劇的な効率化が期待できます。
対応できる作業も幅広く、1つの情報ソースから必要な情報を複数のアプリケーションに仕分けることや、市場調査としてネット上から商品の販売価格を調べ上げ、データベース化することなども可能です。
コストの削減
RPA導入は、コストの削減にもつながります。
RPAはロボットであるため、離職の心配や休暇を考慮する必要がありません。
小規模なものでは数十万から数百万円、自社サーバー内で大規模に活用するものであれば数百から数千万円が導入費用として必要ですが、同じだけの業務量をこなせる人間を雇うとなると何倍、何十倍もの人件費がかかります。
初期費用はかかるものの、長い目で見れば、人間を雇うよりもコスト削減が実現できます。
ミスが減る
ヒューマンエラーが起きないというのも、RPAの重要な特徴です。
RPAが得意とする事務作業は、同じ作業を繰り返し行う反復性が強いものが中心です。
これを人間が行うとなれば、時間経過ごとに注意力が散漫になり、ミスが目立ちだってしまいます。
RPAであれば作業員の疲労などを考慮する必要はなく、正確な作業を延々とこなすことができます。
RPAを導入する際の注意点
RPAは上記のような強力なメリットを持つシステムですが、すべての業種で効果的というわけではありません。
また、あくまで人間が管理しなくてはいけないソフトウェアであるため、システム上のエラーと無縁ではありませんし、業務内容がマイナーチェンジをする際には、細かなメンテナンスも必要です。
RPAの導入に適した業種が存在する
RPAの導入が適している業種には、金融・通信・製造・エネルギー・医療・運輸・教育機関や経理業務などが挙げられます。
RPAが得意とする業務は、反復性の高い工数の多い業務です。
1つのデータソースを仕分けし分配する作業や、逆に多数の情報源から必要な情報だけを抜き出し集計・比較する作業で特に力を発揮します。
そのため、金融業などは、事務作業が多いため、RPAの導入に適しているといえます。
誤作動やシステム障害
RPAでも、元データの不良や、メインシステムやアプリケーションとの組み合わせの悪さにより、誤作動を起こすことがありえます。
その場合、誤ったデータばかりをどんどんと集計してしまったり、その誤った集計データを送信してしまったりする危険性も考えられます。
また、特にクラウド型のRPAサービスを活用している場合など、先方のシステム障害などにより業務がストップしてしまう可能性もゼロではありません。
RPAは人間よりもミスが少ないですが、重要度が高い業務にまで影響が出てしまうと損害が発生する場合もあるため、注意する必要があります。
維持・管理コスト
RPAといえども、人間が管理をしなくてはいけないソフトウェアシステムであることには違いありません。
一度は安定して運用ができていたとしても、適宜メンテナンスを必要とするタイミングが出てきます。
特にアプリケーションのアップデートなどにより、データの参照位置自体が変更になった場合などは、改めて作業フローを設定しなおさなくてはなりません。
また、RPA自体がブラックボックス化してしまう危険性も存在します。
RPAの管理業務にあたっていた人間が退職してしまい、全く手が付けられなくなってしまった、ということがないよう、あらかじめ対策をとっておく必要があります。
RPAとBPO は何が違う?
自社内で処理するには非効率な業務を外部に任せる、という点において、RPAとBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)には共通点があります。しかし、RPAはロボット、BPOは実際の人間が業務を代行するという点から、運用のケースに差が出てきます。
RPAは反復性の高い単純作業の代行に最も力を発揮するため、不意に現れる例外には新たにルールを組み直す必要があり、手間がかかります。
一方、BPOではこれら一部の特例にも柔軟に対応することが可能です。
また、自社内にノウハウのない専門性の高い業務(経理、法務など)を任せることができるというのは、BPOならではのメリットです。
まとめ
RPAとは、ソフトウェアロボットによる業務代行システムのことを指します。
反復性の高い単純事務作業の代行に特に力を発揮し、業務ルール・フローさえ設定すれば、複数のアプリケーションを横断して運用できる汎用性の高さが特徴です。
人間には不可能なミスのない高速処理、間断ない継続した作業ができるため、コストの削減が期待できます。
しかし、あくまで人間の管理を必要とするソフトウェアシステムであるため、誤作動やシステム障害、定期的なルールメンテナンスなどの運用コストも必要です。
一方、BPOはさまざまな状況に柔軟に対応でき、専門性の高い業務も任せることができます。
RPAとBPOにはそれぞれ特徴がありますので、どちらが適しているかを見極めましょう。